少年が住む夜だけが続く光の街~Gallery
Short Story & Drama
∴ Short Story
#02 過去の旋律

SE:扉の向こうでアルバのヴァイオリンの演奏[BGM:主題歌ヴァイオリンバージョン]が聞こえる。


SE:イヴはそっと戸を開いた


 2_1 イヴ「ん?お兄・・・ちゃん?」
 2_2 アルバ「ん?あぁ起きたんだ、おはよう。イヴ」
 2_3 イヴ「・・・どうしたの・・・?」
 2_4 アルバ「・・・いや、なにも」
 2_5 イヴ「・・・また、ヴァイオリン弾いてたんだ、」
 2_6 アルバ「うん。そうだよ、」
 2_7 イヴ「・・・先生は? お仕事にいっちゃったのかな?」
 2_8 アルバ「そうみたいだね、」
 2_9 イヴ「・・・お兄ちゃん?」
 2_10 アルバ「・・・うん? どうしたの?」
 2_11 イヴ「・・・お兄ちゃん、今日元気ないよ・・・?」
 2_12 アルバ「・・・そんなことないよ、大丈夫、心配しないで、」

SE:イヴはアルバの額に手を当てた


 2_13 イヴ「お熱・・・あるよ?」
 2_14 アルバ「えっ、熱?・・・あっ本当だ、風邪ひいていたみたいだ、昨日、ラッセルと夜遅くまで話していたから、」
 2_15 イヴ「・・・だから、早く寝てよっていったのに・・・お兄ちゃん・・・。」
 2_16 アルバ「あはははっ・・・そうだね、ごめん。」
 2_17 イヴ「ううん。イヴはいいの、けどお兄ちゃん・・・。」
 2_18 アルバ「ん? 今日なんかあるのか?」
 2_19 イヴ「ちがうの・・・久しぶりに皆でお出かけしようねって、先生、言ってたから・・・でもお兄ちゃんが風邪ひいていると・・・」
 2_20 アルバ「・・・ふっ・・・大丈夫。」

SE:アルバはイヴの頭に手をのせた


 2_21 アルバ「そんなに風邪ひいても長くはならないよ、ずっとひいていたら毎日学校休むことになるだろ? 心配するな、それに、ラッセルの仕事の予定もあるだろ? あんま無理なこと言うんじゃないぞ?」
 2_22 イヴ「イヴがお願いしたんじゃ・・・ないもん・・・先生が・・・言ったんだ・・・もん・・・」<ちょっといじける
 2_23 アルバ「えっ!? あっそんな悲しそうな顔しないで、僕がわる、こほっ!・・・こほっこほっ!・・・」<せきをする
 2_24 イヴ「お兄ちゃん!!?」
 2_25 アルバ「こほっ!・・・大丈夫、こほっこほっ!・・・ちょっと・・・寝てくるね、・・・こほっこほっ・・・こほっこほっ・・・」<せきをする

SE:アルバは部屋を出て戸を閉めた


 2_26 イヴ「お兄ちゃん・・・。」

SE:アルバはベットのある部屋に行き、ベットに入って寝た


 2_27 アルバ「はぁー・・・風邪・・・か、熱なんてなぁ・・・きっと、日に当たらないせいで、体のビタミンが少なくなっているのかな、はぁー・・・んっ?・・・白い・・・雪・・・?」
 2_28 アルバ「(そういえば・・・あの日から数ヶ月・・・意外と時間はそんなにたってはいないもんだな・・・・・・父さん、母さん。 僕はいったい・・・なんなんですか? 僕が彼方2人の変わりに死んでいればよかった・・・そう悩まない日はなかった、そうすれば・・・イヴは・・・きっと幸せでいられたのかもしれません・・・きっと・・・父さん。 母さん。 僕はいったい・・・何ができたんですか?)」<思う

 2_29 アルバ「(その日はレノの家での誕生日会があったんだ、時間は遅くなり、僕はイヴの手をひいて、家に帰る。 家では父さんと母さんが暖かいシチューとパンを作って待っているはずだった・・・)」<思う

SE:場面は過去の話になる。アルバとイヴは裏通りを走っていた


 2_30 アルバ「はぁ・・・はぁ・・・イヴ! だいぶ遅くなったけど、走れるか?」
 2_31 イヴ「うん。 お兄ちゃんが引っ張ってくれるから、大丈夫。」
 2_32 アルバ「うん。 しっかりつかまっているんだよ、雪も強くなってきた・・・」
 2_33 イヴ「うん。 ・・・今日のレノさん。 いつもよりもっと元気だったね、」
 2_34 アルバ「そうだな、“俺はまた、アルバより先に年上になったぜぇ!”だって、誕生日くらいではしゃいじゃって・・・しかもパーティーまで開くなんてな、本当に僕より年上かよ、」<あきれる感じ
 2_35 イヴ「・・・でも、お母さん言ってた、お誕生日は“君が生まれてきてありがとう。”って言う日だって、だから皆で“ありがとう”って言うためにパーティーやるって、」
 2_36 アルバ「でも、どこの家でもやるってほどでもないけどな・・・」
 2_37 イヴ「イヴは・・・そんなのやだ、」
 2_38 アルバ「そっか、じゃぁ僕がイヴの誕生日のときはレノの誕生日会よりうーんとすごいのしてやるから、楽しみにしておきなよ、」
 2_39 イヴ「・・・うん! イヴ楽しみにしている。 イヴね誕生日プレゼントは絵本がいいとおも・・・・・・うん? ・・・お兄ちゃん。 あれ、」
 2_40 アルバ「うん? んっ、なんだ? あれ? ・・・赤いな、お祭りか何かか? 表通りに出てみるか、」

SE:2人は表通りにでて、その赤く光るほうへ走っていった、たくさんの人々が騒いでいる。


 2_41 エキストラ男性A「なんだあれ? 何か燃えているぞ!?」
 2_42 エキストラ女性A「火事だわ!! 家が燃えているのよ!!!」

 2_43 アルバ「火事?」
 2_44 イヴ「お兄ちゃん・・・あっちって・・・イヴたちのおうちのほう・・・」
 2_45 アルバ「えっ!!!? もしかして!!!・・・走るぞイヴ!!」
 2_46 イヴ「うっうん!!」

SE:2人は火事のほうへ向かった、


 2_47 アルバ「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・どいてください!!!・・・んっ・・・はっ!!!?」

SE:その燃えている建物は自分たちの家だった、家などが燃える音、家が焼かれる音。イヴの泣く声が聞こえた


 1_2 イヴ「うっ・・・ふぅ・・・ううっ・・・おかっさぁん・・・おとぉ・・・さぁん・・・ふぅう・・・うぅぅ・・・」<泣く
 ※この台詞は#01でつかった台詞と同じものを使います。

 2_48 アルバ「うそ・・・そんな・・・」

SE:アルバは地面に倒れこむ


 2_49 アルバ「そんな・・・バカな・・・家が・・・」

 2_50 エキストラ男性A「家がすごいぞ! 燃えている!! 誰か水を!!! 今すぐだ!!」
 2_51 エキストラ女性A「中には誰かいるの!? ねぇ!? 誰か!!」
 2_52 エキストラ女性A「早く消して!! 隣の家にも燃え移ってしまうわ!!」

 1_3 アルバ「どうして・・・なんで?・・・・・・父さん・・・母さん・・・僕たちを・・・僕たちを置いていかないでよぉ!!!・・・父さん・・・母さん・・・僕は・・・・・・」
※この台詞は#01でつかった台詞と同じものを使います。

 2_53 アルバ「うわわわわぁぁぁぁぁぁ!!!」<泣き叫ぶ

 1_4 アルバ「(父さん、母さん、僕はまた、彼方たちの名を呼びたい。僕はまた、彼方たちの声が聞きたい。帰る家があって、暖かい食卓だあって、それで・・・それだけで僕は・・・僕は幸せだったのに・・・・・・その日はとても、星が綺麗な夜だった、赤々と燃え滾る炎の中、絶望という恐怖にかられ、僕たちの帰るべき場所は両親とともになくなっていた・・・そのときに感じた感情、そのとき僕はいったい何を思ったのだろう? 今となっては、まったく覚えてはいない感情だった。 まるで時が止まったように、独りぼっち。 まるで・・・海の底に落ちていくように・・深く・・・暗く・・・独り、ぼっち・・・・・・僕はいったい何を思ったのだろう・・・?)」<思う
※この台詞は#01でつかった台詞と同じものを使います。
 2_54 アルバ「(きっとこれは僕の罰なんだ、そんなことを思いながらたつ日は、とても長く感じられた、・・・出火の原因。 それは今だまったく分からない、原因不明の火事だった・・・僕らがいなかったから火事になったの? これから僕はどうやってイヴと生きていけばいいの? 何もできない僕はイヴを幸せにすること、まして、僕自身を幸せにすることもできないままだ、・・・・・・その場にいなかった僕ら、その間に火事になった、それだけなのに・・・僕自身が悪いような、悲しくて、憎らしくて、・・・僕は、絶望した・・・・・・それから一週間後のことだった・・・僕らの前に彼が現れたのは・・・)」<思う

SE:アルバのヴァイオリンの演奏[BGM:主題歌ヴァイオリンバージョン]が聞こえる。


 2_55 ラッセル「ん? なんだ・・・? この演奏・・・ヴァイオリンか?」

SE:ラッセルが歩いてきて、ヴァイオリンの演奏をしているアルバとうずくまったイヴの前で立ち止まった


 2_56 ラッセル「・・・こんばんわ、君たち・・・何しているの・・・かな?」
 2_57 アルバ「・・・・・・こんばんわ、ヴァイオリンの演奏だよ、」
 2_58 ラッセル「あっあはははっ・・・そりゃそうだね、素敵な音色だ・・・えっと、そうじゃなくて・・・どうしてこんなところで演奏しているのかなってことで、」
 2_59 アルバ「・・・両親との・・・思い出の曲だから・・・」
 2_60 ラッセル「思い出の・・・曲?」
 2_61 イヴ「・・・お兄ちゃん・・・寒いよ・・・イヴ、お腹すいた・・・」
 2_62 アルバ「あっ・・・ごめんな、イヴ、たしか前に、レノの誕生日会でもらったお菓子・・・えっと・・・・・・はい。 アメだけど・・・いい?」
 2_63 イヴ「うん。ありがとう。・・・・・・あんっ・・・・・・おいしい。」<アメを食べた
 2_64 アルバ「よかったね、イヴ」
 2_65 ラッセル「あのー・・・君たち・・・? 家には帰らないのかな? こんなところで演奏していたら、風邪ひくよ?」
 2_66 アルバ「・・・行こう・・・イヴ・・・」<ちょっとツンとして
 2_67 イヴ「お家ないの、」
 2_68 ラッセル「えっ?」
 2_69 アルバ「イヴ!!」<怒る
 2_70 イヴ「はっ!! あっ・・・ごめん・・・なさい・・・」<怖がって
 2_71 ラッセル「・・・もしかして・・・君たち、一週間前、このあたりで火事になった、クライシス家の・・・」
 2_72 アルバ「・・・行こう、イヴ。 風邪ひくから、」
 2_73 イヴ「お兄ちゃ・・・」

SE:アルバはイヴの手をとって、ヴァイオリンとランタンを持ち、去ろうとする


 2_74 ラッセル「まってくれ!!」<呼び止める

SE:アルバとイヴの足が止まる


 2_75 ラッセル「あの・・・俺は、ラッセル=ザン。 もし良かったら・・・俺の家に来ないか・・・?」
 2_76 アルバ「えっ!?・・・どうして・・・」
 2_77 ラッセル「その・・・君たちが良かったらでいいんだけど・・・俺、独身で、その一人だから、仕事するのに、にぎやかな方がいいかな〜なんて、あっあはははは・・・・・・」
 2_78 アルバ「でも、僕たちお金も何ももってないよ、もっているのは今来ている服とランタン、そしてこのヴァイオリンだけ、」
 2_79 ラッセル「そんなのはいいよ、ん〜・・・仕事中にBGMとして君がヴァイオリンで演奏してくれるだけで、」
 2_80 アルバ「それは・・・別に・・・」
 2_81 イヴ「イヴ、この人知ってる。・・・・・・この人本、書いている人だよ、」
 2_82 アルバ「本を・・・書いている人?」
 2_83 ラッセル「あぁ、君、えっと、イヴちゃん。だっけ? 俺のこと知っていたんだ、嬉しいなー実は俺、作家なんだ、まぁーあんまり売れないんだけどね、」
 2_84 アルバ「作家・・・そう・・・なんだ、」
 2_85 ラッセル「まぁね、んで、どうかな? 俺の家に、来る?」
 2_86 アルバ「・・・僕は・・・」
 2_87 イヴ「・・・お兄ちゃん・・・イヴは・・・その・・・」

SE:イヴはギュッとアルバの服を握り締めた


 2_88 アルバ「ふっ・・・イヴがそうしたいなら・・・」
 2_89 ラッセル「うん。 じゃぁ行こうか、」
 2_90 アルバ「僕は、アルバ=クライシス。 こっちは妹のイヴ=クライシス」
 2_91 イヴ「よろしく・・・お願い・・・します・・・。」
 2_92 ラッセル「こちらこそ、しかし俺の本を読んでくれたなんて、嬉しいな〜・・・」<遠ざかりながら
 2_93 イヴ「でもね、イヴ、あんまり面白く無かったよ、・・・」<遠ざかりながら
 2_94 アルバ「面白くないって・・・そんな・・・・・・」<遠ざかりながら

SE:3人はラッセルの家に向かって歩き出す


 2_95 アルバ「(それからだった、これが僕らの両親が亡くなった日で、彼と出会った日、この日からきっと僕は何かを失って、何かが始まった、・・・なんとなく、そんな気がしたんだ・・・・・・きっと何かが・・・)」<思う

 2_96 シャドウ「・・・それでも君は・・・怖いんだろう?」

SE:場面は現在に戻る。アルバは寝ていたベットの上、


 2_97 アルバ「えっ!?・・・あっ・・・ん?・・・僕は・・・そっか、寝ていたんだ、風邪をひいていて・・・こほっこほっ!・・・こほっ!・・・んっ?」<せきをする

SE:イヴが手をつないで寝ていた


 2_98 イヴ「ふぅーふぅー・・・んっー・・・」<寝息
 2_99 アルバ「あっ・・・イヴ・・・ずっと・・・看病していてくれたんだな、手なんかつないで、・・・・・・」

 2_100 イヴ「んっ・・・んん? ・・・あっ! お兄ちゃん!!」
 2_101 アルバ「おはよう。 ありがとう、イヴ。 ずっと一緒にいてくれたみたいだな、」
 2_102 イヴ「ううん。 いいの、・・・イヴはね、お兄ちゃんとずっと一緒にいられるだけでいいの、」

 2_103 アルバ「・・・イヴは・・・それで本当に幸せなのか・・・?」
 2_104 イヴ「・・・うん。 いいの、イヴは一人じゃないなら・・・いいの・・・」
 2_105 アルバ「・・・ふんっ・・・いいの、か・・・そうだな、僕も、いいの、だな、」
 2_106 イヴ「あっマネした!」
 2_107 アルバ「マネしちゃった・・・ あはははははっ・・・」<笑う
 2_108 イヴ「ふふふふっ・・・」<笑う
 2_109 アルバ「(そう・・・僕らはずっと、傍にいれば・・・僕らはずっと、幸せなんだ・・・だよね? イヴ・・・)」<思う

SE:カーンカーンと時計塔の鐘の音


 2_110 シャドウ「ふふふっ・・・幸せそうだねぇーアルバは、いいな、僕もそんな暖かそうな所に行きたいよ、・・・でも、僕は本当の君の気持ちしっているんだけどな〜・・・ねぇ? アルバ・・・」

SE:時計塔の上で座っていたシャドウは立ち上がる


 2_111 シャドウ「よいしょ!・・・それじゃぁね、アルバ、・・・もうすぐで、会いに行くから、待っててね・・・ふふふふっ・・・ふはははっ・・・」<最後は少し高笑い

SE:鳥の羽ばたく音



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